2014 年 68 巻 2 号 p. 94-101
本研究では中空糸正浸透膜の透水性能解析手法の開発を目的とし,内部濃度分極と各位置におけるDSの希釈を考慮したICP-dilutionモデルを提案した.膜の固有パラメータとして,水透過係数 (A) =0.227 LMH/bar,塩透過係数 (B) =0.035 LMH,構造パラメータ (S) =900 μmを用いた解析値は,様々な運転条件(初期DS濃度,DS供給流量,膜の向き)における実験結果と良好に一致した.本手法を用いることで,各運転条件における全透過水量,出口DS濃度,希釈割合,浸透圧効率,中空糸の各位置におけるフラックスおよびDS濃度などを予測することが可能となった.さらに大型モジュールの性能試算を行い,目標透過水量を達成するための必要条件(モジュール長さ,供給流量,DS濃度など)を得ることに成功した.