日本海水学会誌
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正浸透法を用いたラテックス粒子の濃縮特性
高橋 智輝安川 政宏松山 秀人
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2015 年 69 巻 2 号 p. 111-117

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抄録

本研究では,海水を利用した正浸透法による省エネルギー的なラテックス粒子濃縮プロセスの構築を目指して,操作条件の最適化を行うとともにFO膜の種類や膜の緻密層の設置向き等が濃縮特性に与える影響,また界面活性剤(SDS)の役割について検討を行った.装置の攪拌速度,浸漬させる膜ホルダーの設置位置,並びにラテックス濃度とせん断粘度の関係を検討した結果,ラテックスの濃縮挙動は膜面せん断応力及びラテックスの流動状態に大きく依存することを明らかにした.さらに,ラテックス粒子の濃縮特性は用いるFO膜の基礎性能や巨視的な膜構造にも顕著に依存した.また,ラテックス粒子の濃縮挙動とSDS水溶液のみの濃縮挙動を比較した結果,FO膜の支持層内部におけるSDSの濃度分極現象がラテックスの濃縮において重要な因子であることが明らかとなった.以上の結果から,本手法を用いることにより,界面活性剤を保持性した状態でラテックス粒子の65 wt%程度まで高濃縮化が可能であることを示した.

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© 2015 日本海水学会
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