日本海水学会誌
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69 巻, 2 号
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巻頭言
特集:「環境保全に配慮した資源開発技術の構築に向けて」
解説
報文
  • 河野 通尭, 海野 理, 後藤 駿一, 藤原 邦夫, 須郷 高信, 小島 隆, 河合(野間) 繁子, 梅野 太輔, 斎藤 恭一
    2015 年69 巻2 号 p. 90-97
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/09/26
    ジャーナル フリー
    海水からのストロンチウムの除去のために,放射線グラフト重合とそれに続く化学修飾によって,チタン酸ナトリウム担持繊維を作製した.まず,6-ナイロン繊維にアニオン交換基をもつビニルモノマーであるジメチルアミノプロピルアクリルアミドをグラフト重合し,アニオン交換繊維を作製した.そして,チタンイオン種としてペルオキソチタン錯体アニオンをアニオン交換基に吸着させた後,アルカリ処理することによって,結晶性の高いチタン酸ナトリウムを繊維表面に析出させた.海水中でのストロンチウムに対するチタン酸ナトリウム担持繊維の平衡吸着容量はLangmuir型吸着等温線から1.7 mg/gと算出された.
  • 佐々木 貴明, 藤原 邦夫, 須郷 高信, 河合(野間) 繁子, 梅野 太輔, 斎藤 恭一
    2015 年69 巻2 号 p. 98-104
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/09/26
    ジャーナル フリー
    水中からのルテニウム除去の速度を高めるために,グリシジルメタクリレートの放射線グラフト重合とそれに続く核酸塩基の付加反応によって,核酸塩基を固定した繊維を作製した.6-ナイロン繊維へのアデニンの固定密度は1.2 mmol/gであった.ルテニウム水溶液中の塩化ナトリウム濃度が増加するにつれて,ルテニウムの除去速度は増加した.除去速度がルテニウム濃度の2次に比例して表されることがわかった.さらに,ルテニウムの初期除去速度の温度依存性から,アデニン固定繊維へのルテニウム吸着での活性化エネルギーは,塩化ナトリウム濃度によらず45 kJ/molと算出された.
  • 遠藤 由香, 石川 匡子
    2015 年69 巻2 号 p. 105-110
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/09/26
    ジャーナル フリー
    にがりを構成する無機塩と塩の味質の関係について官能評価と味覚センサにより検討した.官能評価の結果,塩化ナトリウム0.8 %溶液に,塩化カリウム,硫酸ナトリウムを0.08 %添加した際,味の識別が可能であり,添加濃度の増加とともに味が濃く感じられた.一方,硫酸マグネシウムは0.04 %,塩化マグネシウムは0.16 %添加した際,識別可能であり,添加濃度の増加とともに味が薄く感じられると同時に,苦味も感じられた.味覚センサ測定では,硫酸マグネシウム,塩化マグネシウムのみ,苦味の応答パターンが他の溶液と異なっていた.以上の結果から,にがり成分によって,塩の味質に与える影響が異なると考えられる.
  • 高橋 智輝, 安川 政宏, 松山 秀人
    2015 年69 巻2 号 p. 111-117
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/09/26
    ジャーナル フリー
    本研究では,海水を利用した正浸透法による省エネルギー的なラテックス粒子濃縮プロセスの構築を目指して,操作条件の最適化を行うとともにFO膜の種類や膜の緻密層の設置向き等が濃縮特性に与える影響,また界面活性剤(SDS)の役割について検討を行った.装置の攪拌速度,浸漬させる膜ホルダーの設置位置,並びにラテックス濃度とせん断粘度の関係を検討した結果,ラテックスの濃縮挙動は膜面せん断応力及びラテックスの流動状態に大きく依存することを明らかにした.さらに,ラテックス粒子の濃縮特性は用いるFO膜の基礎性能や巨視的な膜構造にも顕著に依存した.また,ラテックス粒子の濃縮挙動とSDS水溶液のみの濃縮挙動を比較した結果,FO膜の支持層内部におけるSDSの濃度分極現象がラテックスの濃縮において重要な因子であることが明らかとなった.以上の結果から,本手法を用いることにより,界面活性剤を保持性した状態でラテックス粒子の65 wt%程度まで高濃縮化が可能であることを示した.
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リレーエッセイ(12)
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