日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
Print ISSN : 0369-4550
ISSN-L : 0369-4550
報文
非加熱蒸留部を有する拡散式多重効用蒸留器の数値解析
野底 武浩車田 昌弥儀間 悟水口 尚
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 72 巻 2 号 p. 109-119

詳細
抄録

蒸発倍率を向上させることを目的に,加熱蒸留部と非加熱蒸留部から構成される拡散式多重効用蒸留器を提案し,100 ℃で加熱される,加熱部と非加熱部の長さ比が1:1の10段効用蒸留器について,定常二次元のモデルを構築し数値解析を行った.各効用段の加熱部においては,蒸留の進行とともに溶液と凝縮水は昇温して蓄熱し,非加熱部においては放熱して温度を低下させ蒸留を継続させるとともに,溶液と凝縮水が持ち出す熱量を大幅に減少させた.この流出熱量の減少により,蒸発倍率は24 %向上した.総蒸発速度は,加熱蒸留部の長さを基準にすると50 %の向上,加熱部と非加熱部を合わせた長さを基準にすると25 %の低下であった.提案型蒸留器において,濃縮倍率を2倍から4倍に増加させた場合と,溶液の供給温度を30 ℃から60 ℃に上昇させた場合について数値解析を行い,濃縮倍率と供給温度の上昇により蒸発倍率がさらに向上することを示した.

著者関連情報
© 2018 日本海水学会
前の記事 次の記事
feedback
Top