抄録
製塩晶析工程におけるスケーリング抑制のためにカルシウムイオン除去を目的とした検討を実施した.まず,イオン交換膜濃縮海水に苛性ソーダと炭酸ガスを供給した.本法により,カルシウムイオンは炭酸カルシウムとして濃縮海水から選択的に除去できた.このとき,苛性ソーダの使用量は0.2 mol/L-濃縮海水であり,固定化される炭酸ガス量は0.10 g/g-塩である.このとき,炭酸ガス供給口周辺のpHが高いほど,析出物中のアラゴナイト/カルサイト比は低下する.次に,カルシウムを除去した濃縮海水を蒸発濃縮した.その結果から,製塩晶析工程においてカルシウムスケールは析出しないことが明らかとなった.本法により製品収率に与える影響は些少である.