日本塩学会誌
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クエン酸鉄アンモニウムその他による食塩の固結防止機構
江崎 茂小林 秀雄山本 秀夫林 順一
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1962 年 16 巻 2 号 p. 63-72

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抄録
微量で卓効を示した固結防止剤による塩化ナトリウムの固結防止機構を調査した結果, 大要次のような結果を得た.
(1) 錯塩ならびに重金属塩類のごとき固結防止剤を用いた場合の食塩結晶の成長抑制状態を観察した結果, 成長抑制効果がいちじるしく, したがつてその固結防止効果は塩の乾燥成長時に食塩結晶に吸着してその成長を抑制し, 架橋を防止するためである.
(2) クエン酸鉄アンモニウムについて結晶の成長抑制と固結防止効果との間に相関が認められた.
(3) 界面活性剤については成長抑制効果は認められず, したがつてその固結防止効果は表面張力の低下に基づく粒子の接着防止, さらに油性被膜による防湿, 防乾によるものと考えられる.
(4) フエロシヤン化カリウムの吸着機構について格子間隔および荷電を用いて結晶学的に考察を行つた.
(5) フエロシヤン化カリウム, クエン酸鉄アンモニウムについて吸着量を測定した結果, いずれも吸着量が多く, 食塩結晶の格子の欠陥数以上吸着されており, 吸着に際してその構造の特殊性ならびにその大きな荷電によつて結晶の格子点を占めて入ると考えられる.
(6) 固結防止剤としてのクエン酸鉄アンモニウムの食塩への最適添加量は5~10ppmである.
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