日本海水学会誌
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食塩の附着液組成と固結傾向
食塩の固結機構について (第6報)
増沢 力
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1966 年 20 巻 3 号 p. 122-135

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抄録
現在市販されている各種食塩をその分析値から附着液を推定してその固結傾向を論じた.
1. 並塩は大部分Jäneckeの図において海水組成点附近にあり, マグネシウムイオン濃度は40mol/1000mol H20附近である. 一部MgS04を含んだ結晶の存在が予想された. また運転条件, 操作条件により海水濃縮線からはずれたものもあつた.
2. 食塩は洗浄により不純物は減少するが乾燥により, マグネシウムイオン濃度は150-350mol/1000mol H2Oになった. これは濃度は大きいが並塩などより附着液の絶対量が非常に少なくそのため固結性が大きい.
3. 精製塩はマグネシウムイオン濃度は乾燥するため150mol/1000mol H20と非常に高いが, 硫酸イオンの割合が多いため被組成からいつて蒸気圧が高く温度変化による析出物が多く, かつ水分が少ないため固結性は大きいと思われる.
4. 附着液からみて固結性を検討する際次の因子が問題となる (1) 附着液の絶対量 (2) 附着液中の塩化ナトリウムの純度 (3) 附着液中のマグネシウムイオン, カリウムイオンおよび硫酸イオンの割合 (4) 附着液組成から析出する塩化ナトリウム以外の析出物が結品水を持っかどうか, などが考えられる.
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