日本海水学会誌
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重金属選択吸着樹脂について
松尾 哲男能村 恵美子
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1967 年 20 巻 4 号 p. 225-230

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抄録
m-およびp-PDTUはm-およびp-PDA-2HClとチオシアン酸アンモニウムより簡単に製造され, レゾルシンと容易に縮合して単位構造中に2このチオ尿素基を含む樹脂m-およびp-PRが得られる.
この二つの樹脂の水銀, 銀に対する吸着能をpH滴定曲線法によつて判定し, キレートの生成を認めた.
次に水銀, 銀について吸着量を測定した結果, 二つの樹脂の間にはとくに銀についてあまり差は認められなかつた.
また, この二つの樹脂の吸着能を北条によつて合成された3HPTU-フェノール樹脂 (単位構造中にチオ尿素基を一こ含む) の吸着能と比較した. 樹脂m-PRおよびp-PRを通しての最大の吸着量はp-PRの水銀に対する吸着量1.6mmol/gで, その理論上の最大吸着量が5.52mmol/gであるのに対して, 3HPTU-フェノーノレ樹脂の理論上の最大吸着量は3.45mmol/gで, 最大実測値は水銀の2.2mmol/gであつた. すなわち, でm-PRおよびp-PRは交換基の数が2倍であるにもかかわらず吸着量が少ない, という結果を生じた. これはチオ尿素基が大きな交換基であり, その位置が樹脂化によつて固定されたためにキレート環をつくる空間が第2のチオ尿素基で狭められたためであると考えられ, m-PRとp-PRの間に差がみられなかつたのも上記と同じ原因のためと考えられる.
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