日本海水学会誌
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電解法による水酸化マグネシウムのX線的研究
天野 一雄岡 俊平
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1967 年 20 巻 4 号 p. 230-236

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抄録
以上, 種々の条件で電解し, 得られた水マグについてX線回折を行ないその半価幅から結晶子の大きさを求めたところ,
1) 結晶子の大きさは溶液の種類によつて異なり, 塩化マグネシウム溶液では, 高さは約75Å, 長さは約300Å, 体積はほぼ45×10-19cm3である. 硫酸マグネシウム溶液では, 高さ約45Å, 長さ約200Å, 体積11×10-19cm3で, 前者よりも反射面に垂直な方向に於ける結晶子の厚みで約2/3, 体積では1/4の大きさである. このように, 小さな結晶子にもかかわらず, ロ過洗滌に優れているのは凝集しているためである. さらに硫酸マグネシウム溶液より生成された水マグの方がロ過洗滌および乾燥に特に優れているのは凝集性が一層優れているからである.
2) 結晶子の大きさは溶液の濃度, 電流密度, 通電時間, 食塩添加には関係ないが, 撹拌数が少なく結晶子が陰極板に付着すると結晶成長が認められた.
硫酸マグネシウム溶液では食塩を添加すると, 添加量の増加に従つて結晶成長が認められた.
3) 塩化マグネシウム溶液では経時変化はあまりないが硫酸マグネシウム溶液では, 21日目迄は大きく成長するが, それ以後は成長する速度がにぶくなる.
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