日本海水学会誌
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食塩結品中の不純物について
製塩における缶内液に関する研究 (第5報)
米井 祥男増沢 力
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1967 年 20 巻 5 号 p. 269-276

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抄録

食塩結晶中の不純物について, 主として4工場の並塩, その他イオン交換かん水析出塩を含む15工場の並塩そして精製塩および局方塩の表面に付着している不純物を洗浄により完全に除去して検討した. すなわち熱および化学分析さらに検鏡, X線回折などにより不純物の組成, 形態および量を検討した結果は次の通りである.
(1) 結晶中の不純物の化学組成は, カリウムイオン; 0.013~0.033g/100g 試料 (16~37%), へマグネシウムイオン; 0.007~0.017g/100g試料 (4~7%), カルシウムイオン; 0.003~0.014g/100g 試料 (10~45%), 硫酸イオン; 0.022~0.069g/100g試料 (5~23%) であった.
(2) Jäneckeの三角図表. マグネシウムーカリウムの不純物組成から, カリウムが食塩の結晶格子中に混入していることが推定された. この量は塩化カムリウムとして0.02~0.05g/100g 試料で結晶中総量の70~80%にあたる.
(3) カルシウムは, せつこうとして結晶中に混入していることを缶内被および結晶中のカノレシウム濃度の違いと偏光顕微鏡で確認した. 塩田かん水および海水直煮の析出塩では混入の仕方には規則性がなく, 大きさも一定でない. 一般には長径; 0.03mm×短径; 0.O1mmの立方柱状が多かった. 化学分析値がカルシウムイオンで0.003g/100g試料の試料を100個検鏡した結果26個の粒子中にせつこうの混入を認めた. イオン交換かん水析出塩では, 他に比してせつこう混入量が多く, 規則的に混入している. 形態はX線回折の結果無水塩を確認した.
(4) 液泡量を間接法により推定した結果0.15~0.24g/100g試料であった. イオン交換かん水析出塩の液泡量は製造年によって大きな差があった. 液泡の生成要因として缶内液濃度が影響していることがわかった.

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