抄録
電気泳動装置を使用してイオン交換膜中におけるイオンの易動度の測定を行なつた. 第一の方法はアイソトープ22Na,36Clを使いイオンの泳動距離を実測する直接法, 第二の方法は輸率, 膜内イオン濃度, 比電導度から易動度を算出する間接法を用いた.
測定の結果, 両者とも同種類の膜同士では, ほぼ近似的な値がえられたことから, 一般には第二の間接法で易動度を推定してもよいと考えられる.
膜中におけるイオンの易動度は水溶液中のものとくらべてH+, OH-以外の1価イオンはほぼ1/10, 2価イオンは1/20~1/50に低下する. 膜中における2価イオンの低下率が特に大であるのはこれらイオンの膜内イオン交換基に対する親和力が大きいためと思われる.