抄録
0.5N-NaCl溶液を原液として, 25℃で2~4A/dm2の電流密度でイオン交換膜濃縮を行なつた場合の, 濃縮側膜面附近 (境膜) における濃度分布および膜面濃度を測定した. 測定はすでに報告したシユリーレンーダイヤゴナル法によつた. 濃縮室に原液 (0.5N-NaCl溶液) を張込み, 通電を開始してから平衡に達する過程における境膜の変化を, 写真で示した. 平衡時における境膜内における濃度分布は, シユリーレン像では直線, すなわち液主部との濃度差が, 膜面からの距離と2次式の関係にあることが分つた. 電流密度の増加とともに膜面濃度も上昇するが, 膜種間の相対的な濃度関係に変らず, 濃度差はむしろ大きくなる. 一方膜面濃度Ciは, 液主部濃度CbとCi=αCb+Coなる直線関係にある. 定数αおよびCoは, 膜に個有の数値であり, とくにαは電流密度が変化しても変化しない. この関係は, 前報にのべた膜特性の動的表示の1つとして, 有用なものと思われる.