日本海水学会誌
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製塩工場におけるイオン交換膜・塩田混合かん水の濃縮
製塩における缶内液に関する研究 (第15報)
増沢 力
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1970 年 23 巻 6 号 p. 246-256

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抄録
赤穂海水化学工業 (株) 製塩工場において塩田かん水, イオンかん水および両者の混合かん水の濃縮について調査した結果のうち, 混合かん水の濃縮液組成の変化および生産塩に混入するカリウムイオンについて報告した. また併せて混合する場合の液組成の変化および使用平衡図について検討した結果次の結果を得た.
1. 結晶缶内液はマグネシウム濃度20~70mol/1000mol H2Oとa1~a2(塩化ナトリウムおよび塩化カリウム飽和点) あるいはa2を越えてせんこうしていた. この缶内液は塩田かん水濃縮系に比べて硫酸イオンが少なかつた.
2. 各結晶缶内で濃縮中塩化カリウムの析出が見られた.
3. 生産塩中のカリウムイオンは塩田かん水の場合に比べて少し多かつた.
4. 溶縮時に濃縮缶および第2効用缶内でNS・A複塩 (Na2SO4・2MgSO4・Mg (OH)2・4H2O) が, また第2および第3効用缶内にポリハライト (K2SO4・MgSO4・2CaSO4・2H2O) の析出が見られた.
5. 塩田かん水および混合かん水濃縮系では, それぞれ析出マグネシウムイオンおよびカリウムイオンが缶内に戻るいわゆる “戻り現象” が認められ, 缶内液組成はバツチ濃縮系からずれた.
6. 塩田, イオンおよび混合かん水濃縮時の塩化ナトリウム飽和点での塩化ナトリウム濃度は, かん水の純塩率の順にイオン>混合>塩田の順となつた.
7. 25℃の平衡図から計算したa1およびa2と実測値とを比較した結果, a1はよく一致したがa2は一致しなかつた.
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