日本海水学会誌
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フラッシュ蒸発に関する基礎的実験
宮武 修村上 憲太郎川田 陽一藤井 哲
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1972 年 26 巻 4 号 p. 189-198

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抄録

フラッシュ蒸発の物理的機構の解明を目的として, 瞬間的減圧下における容器内の静止温水のフラッシュ蒸発に関する基礎的な実験を行なった.
純水について平衡温度40, 60, 80℃, 過熱度約3,5℃Cの条件下における実測値を得た結果, フラッシュ蒸発は時間に対して, 指数関数的に減衰する2過程を経ることがわかった. 最初の過程における蒸発速度は, 後続する過程のそれにくらべて極端に大きく, 最初の過程が実質的なフラッシュ蒸発期間と考えられる. したがって最初の過程の終了の状態において, フラッシュ蒸発時間, 非平衡分率, 非平衡温度差ならびにフラッシュ蒸発誘起範囲の決定を行ない, それらの実験式を提出した.
その結果, ある程度自明の事実を含めて, 次のことが定量的に明らかとなった.
1) フラッシュ蒸発時間は平衡温度が高いほど, また過熱度が小さいほど短くなる.
2) 非平衡分率は平衡温度が高いほど, また過熱度が大きいほど小さくなる.
3) 非平衡温度差は平衡温度が高いほど, また過熱度が小さいほど小さくなる.

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