1975 年 29 巻 1 号 p. 18-21
陽イオン交換膜の膜抵抗を種々の塩類溶液中で測定し, 対立イオンの種類と移動度比との関係について検討した.その結果を要約すると,(1) 非対立イオンは極限比導電率の値にほとんど影響しない.(2) 一価のアルカリ金属イオンにくらべて多価イオンの膜抵抗は一般に大きい.(3) 水素イオンとアンモニウムイオンの場合の膜抵抗は非常に低い値を示した.(4) 移動度比と結晶イオン半径とを比較したところ, 一般的な傾向として結晶イオン半径の小さいイオンほど, またイオンの荷電の大きいイオンほど膜中での移動度は小さい.(5) 一般にイオンポテンシャルの大きな対立イオンほど極限比導電率が小さく, 高い膜抵抗を示した.