産業廃水中に含まれる種々の有害重金属の回収除去にイオン交換膜を用いる電気透析法が考えられる.そこで, 重金属塩類の一例として塩化亜鉛の濃縮について実験を行なった.
原液には1N塩化亜鉛溶液を用い, 電流密度を1~5A/dm
2の範囲内で種々に変化させて実験を行ない, 濃縮液濃度, 濃縮液量を測定し, 濃縮当量を算出した.
この結果, 濃縮液量および濃度におよぼす電流密度の影響は塩化ナトリウムの電解濃縮の場合と同様の傾向を示し, 塩化ナトリウム溶液の場合と比較すると濃縮液濃度はいくぶん低く, 濃縮液量は多いことがわかった.これはイオン交換膜中での亜鉛イナンの水和がナトリウムイオンにくらべて大きいためと考えられる.電流密度を無限大に外そうした最高到達濃度は4.4Nとなった.濃縮当量は電流密度に比例して増大し, 電流効率は約88%と良好な値を示した.
また, 陽イオン交換膜の膜抵抗を塩化亜鉛溶液中で測定した結果, 比導電率は同濃度の塩化マグネシウム溶液の場合と同程度であった.
以上の結果, 塩化亜鉛溶液の濃縮および回収にイオン交換膜が有効に利用できることがわかった.
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