抄録
一定濃度の交換溶液が, スペーサーの挿入されていないイオン交換膜電気透析装置内を1回通過する場合について, イオンの移動に及ぼす各種操作因子の影響を調べた. その結果, 濃縮液と脱塩液の濃度差による拡散が物質流束に与える影響は, 印加電流に比較して無視できるほど小さいことがわかった. すなわち, イオンの移動流束は電流密度に比例し, 電流移動係数はEq.(8) で示されることを実験的に示した. さらにこの関係は, 電気透析装置の供給液濃度および電解質の種類に関係なく成立することを明らかにした.
次に温度の影響を検討した結果, 電気透析を低温で操作するほど, イオンの移動流束は大きくなることがわかった.