抄録
多段フラッシュ蒸発装置の生成蒸留水の純度低下を防ぐためには, 蒸気に同伴する飛沫ミストの除去が不可欠である. 本研究は, この飛沫ミスト除去の問題で必要となる飛沫ミストの濃度および粒度分布を測定するために, 新しい装置を開発し, これを39段多段フラッシュ蒸発装置内の第20段に設置して, フラッシュ室内のミスト濃度と粒度分布を求めた. プラントの運転条件が異なる2種類の場合について実験を行なったところ, ミスト濃度, 重量平均粒子径がおのおの0.72×10-4g/l, 70μm;2.2×10-4g/l, 120μmの結果を得た. この結果と運転条件とを比較すると, ブライソ流量が800t/hr (1,300t/m・hr);1,000t/hr (1,700t/m・hr) と約20%の差異以外はほぼ同一の条件であった. このことと, ミスト濃度で約3倍, 平均粒子径で約2倍となったことを考慮すると, 蒸発に起因するフラッシュ強度はミストの発生と大きな関連があることを示している.