抄録
ガスクロマトグラフ法により食塩に添加された有機酸の定量法を検討した. リンゴ酸, クエン酸のそれぞれを含む食塩中に内部標準物質として酒石酸を加え, アセトンにごよる抽出を行ない, 抽出液の一部を分離し, 溶媒を乾固した後, 残留する3種類の有機酸を同時にN, O-ビス (トリメチルシリル) トリフロロアセトアミド (BSTFA) でトリメチルシリル化し, ガスクロマトグラフにかけた. ガスクロマトグラフの操作には, 2%OV-17/クロモソルブG (AW-DMCS){(60~80) メッシュ} を充填した分離管を使用し, 分離管温度100℃~230℃, 10℃/min昇温の条件下で行なった. この場合の保持時間, および検出率はそれぞれリンゴ酸については, 4.7min, 105%, クエン酸については, 9.1min, 106%であった.
酒石酸を内部標準として測定した場合, 食塩 (25g) に添加したリンゴ酸とクエン酸は, 0.02~0.08%の間で良好な直線関係を示した. この範囲内でのリンゴ酸の定量における再現精度は変動係数として1.2%クエン酸については2.2%であった. 食塩中に含有されるカルシウム, マグネシウム, 鉄, 銅, アルミニウムは, ほとんど妨害しなかった. 本法を用いて市販の “つけもの用塩” を分析した結果リンゴ酸0.05%, クエン酸0.04%の分析値が得られた.