日本海水学会誌
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限外ろ過法による炭酸塩系脱着液からのウランの濃縮
大井 健太加藤 俊作菅坡 和彦
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1984 年 37 巻 6 号 p. 352-357

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抄録
限外ろ過法による炭酸塩系脱着液からのウラン濃縮と脱着薬剤の回収について検討し以下の結果を得た.
1) NaHCO3系脱着液を分画分子量500の膜を用いて限外ろ過した場合, ウランおよび脱着薬剤の阻止率は, それぞれ98, 14%であった. 脱着液を14倍に濃縮したとき, ウランは10倍濃縮され, 85%の脱着薬剤が透過液側に回収できた.
2) 同一の膜を用いて4回のくり返し濃縮を行ったが膜性能に大きな変化はみられなかった.
3) 分画分子量1,000の限外ろ過膜を用いた場合, 水透過速度は高くなったがウランの阻止率が73%に低下した.
4) (NH4)2CO3系脱着液の場合, ウランの阻止率および水透過速度はNaHCO3系脱着液の場合とほぼ同じであったが, 脱着薬剤の回収率が低かった. これは, 限外ろ過の際に (NH4)2CO3が分解しNH3とCO2として空気中に逃散しているためと思われた.
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