日本海水学会誌
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水酸化酸化マンガンによる海水中のモリブデンおよびバナジウムの吸着性
海水溶存資源の採取に関する研究 (第3報)
宮井 良孝大井 健太加藤 俊作
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1985 年 38 巻 5 号 p. 300-305

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抄録

海水中の有用溶存資源の採取技術の確立を目的として, 研究を進めている.今回はγ-MnOOHを吸着剤として用い, 海水中のMoおよびVの吸着性を基礎的に検討し, 以下のような結果を得た.
1) MoおよびVのpH依存性には相違が認められた.それは溶存化学種の違いによると推察される.
2) 海水からの吸着機構を推定した結果, pH8前後においてはMoはアニオン交換吸着であり, Vはイオン交換以外の機構によると考えられる.
3) 海水濃度での平衡吸着量から, γ-MnOOHはVに対して有効な吸着剤と思われる.
4) γ-MnOOHは含水酸化チタンに比べて, 吸着量および吸着速度はやや劣るが, 選択性の点では優れていることがわかった.

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