日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
Print ISSN : 0369-4550
ISSN-L : 0369-4550
Mg2MnO4から調製した吸着剤による海水からのリチウム採取
マンガン酸化物系吸着剤による海水からのリチウム採取 (第7報)
宮井 良孝大井 健太加藤 俊作
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 42 巻 3 号 p. 114-118

詳細
抄録
海水中の有用溶存資源の採取技術の確立を目的として研究を行っている.その一環として, リチウムの吸着採取研究を進めている.今回はマグネシウムマンガン酸化物 (Mg2MnO4) から導かれるリチウム吸着剤[HMnO (2Mg) ]を用い, 海水中のリチウムの吸着性および脱着性ならびに吸着-脱着の繰返し試験などを検討し, 以下のような結果を得た.
1) Mg2MnO4から調製した吸着剤[HMnO (2Mg) ]は, 海水中のリチウムに対して高い選択性を示した.リチウム吸着量は, 溶液のpHおよび温度が高くなると大きくなった.
2) 海水濃度での平衡吸着量は5.9mg・g-1であり, リチウム鉱石含量の1/3に達した.
3) リチウムの脱着は塩酸溶液で容易に行うことができた.
4) 5回の吸着-脱着の繰返し試験の結果, 吸着量はほぼ一定で変化がなく, また, 脱着率は80%以上に達した.
これらのことから, この吸着剤は海水からのリチウム採取用吸着剤として有望であると思われる.今後, 最適調製条件ならびに造粒法などについて検討する予定である.
著者関連情報
© 日本海水学会
前の記事 次の記事
feedback
Top