日本海水学会誌
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複合ポリアクリロニトリル繊維から調製した繊維状アミドキシム吸着剤およびそのウラン吸着性
高木 憲夫広津 孝弘榊原 実雄加藤 俊作菅坡 和彦
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1989 年 42 巻 6 号 p. 279-283

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抄録
本研究では海水中のウランに対する吸着性が高く, かつ高強度の繊維状吸着剤を開発するために, アミドキシム化の容易な重合体とアミドキシム化の遅い重合体との複合型アクリロニトリル繊維を用いてAO-繊維を調製し, 調製条件と海水ウランに対する吸着性および繊維強度について検討しつぎの結果を得た.
1) 複合型アクリロニトリル繊維をヒドロキシルアミンと8時間反応させ, 引き続いて24時間アルカリ処理して得たAO-繊維がもっとも大きなウラン吸着速度を示し, 85日間のウラン吸着量は10mg/gであった.
2) アルカリ処理したAO-繊維のウラン吸着性から, ウラン吸着速度が弱酸基量および含水量に著しく依存することが認められた.
3) 繊維強度は, アクリロニトリル含有率の高いポリマーを複合させることにより増大することが認められた.
4) 以上の結果から, アクリロニトリル含有率の異なる二つの共重合体からなる複合型アクリロニトリル繊維から調製したAO-繊維は, ウラン吸着性のみならず繊維強度も向上することが認められた.
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