抄録
高純度塩中の不純物マンガンを微量のキレート型イオン交換樹脂による分離濃縮と接触反応を利用したフローインジェクション吸光光度法により定量した. その結果, 次の知見を得た.
1) 作製したイオン交換分離システムとフローインジェクション分析システムを組み合わせることによって, ミクロスケールの分析が半自動的に行える.
2) 10μl量のイオン交換カラムを使用した場合, 1.0mlまでの試料溶液を扱え, 塩試料中のマンガンを約0.7ppbの誤差で分離定量できることがわかうた.
3) 20μl量のイオン交換カラムを使用した場合, 4.5mlまでの試料溶液を扱え, 塩試料中のマンガンを約0.1ppbの誤差で分離定量できることがわかった.
4) 本法により精製塩約0.2gおよび塩化ナトリウム試薬約1gを分析した結果, マンガン含有量は, それぞれ19±0.9ppbおよび0.91~0.06ppbであった.