日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
Print ISSN : 0369-4550
ISSN-L : 0369-4550
カリウムイオン記憶合成フッ素雲母イオン交換体の妨害イオンイオン交換特性
カリウムイオン記憶無機イオン交換体の開発 (第4報)
鈴木 喬鈴木 隆元杉田 静雄三宅 通博初鹿 敏明阪根 英人
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 48 巻 4 号 p. 240-247

詳細
抄録
本報はナトリウム形合成フッ素雲母, とくにナトリウム形テニオライトNa+Tのアンモニウムイオン, カルシウムイオン, マグネシウムイオンの単独のときのイオン交換特性と, これらイオンが共存するときのカリウムイオンやアンモニウムイオンの除去特性について調べた.
1) いずれのイオンもNa+Tのナトリウムイオンと容易にイオン交換することが明らかになり, 各種陽イオンに対して選択性を有することも判明した. すなわち, Na+Tはナトリウム共存下でのこれらイオンの除去剤としても使用することができる. とくにアンモニウムイオンとは非常に選択性が高く, カリウムイオンに対する場合とほぼ同じように反応した.
2) Na+Tではカルシウムイオンやマグネシウムイオンが共存してもカリウムイオン除去能にはほとんど影響を与えないが,アンモニウムイオンが共存するとカリウムイオンとの間にはまったく選択性がなく, 溶液中の濃度比のままナトリウムイオンと交換することが判明した.
しかし, 実際には海水中でアンモニウムイオンが共存するのは特別な場合だけであり, アンモニウムイオンが共存する状況下でカリウムイオンだけを除去する必要があることはほとんどないと考えられる. むしろカリウムイオンとアンモニウムイオンはともに肥料の3要素のうちの2つであり, 海水や生活排水中よりこれらを同時に除去したものは肥料として使える可能性があると思われる.
著者関連情報
© 日本海水学会
次の記事
feedback
Top