日本海水学会誌
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Li1.33Mn1.67O4から導かれた高性能吸着剤のリチウム吸着性
宮井 良孝大井 健太西村 友伸隈元 純二
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1994 年 48 巻 6 号 p. 411-415

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抄録

高性能吸着剤 (Li1.33Mn1.67O4型) の粒状成形体を用いて吸着特性と吸着処理条件ならびに吸着-脱着のくり返し試験などについて検討した結果, 次のようなことが明らかになった.
海水濃度での平衡吸着量は粉末吸着剤の場合25.5mg・g-1,粒状吸着剤の場合18mg・g-1に達した. この吸着量はこれまでの最高の値である.
リチウム吸着速度に及ぼす粒径の影響は大きい. 粒径0.7~1.4mmの場合, 吸着時間30日間で13~15mg・g-1となり, 平衡吸着量の80%程度に達した. この吸着量はリチウム鉱石品位に相当する.
粒径1.0~1.4mmの粒状吸着剤の場合, 空間速度220h-1以上においてリチウム吸着量はほぼ一定となり, 粒内拡散が律速になったと推定された. また, 吸着時間35日間, 空間速度110h-1の場合の海水からのリチウム採取率は約25%であった.
吸着-脱着のくり返し試験を10回行った結果, リチウム吸着量はくり返し回数とともに若干低下したが, 良好な吸着性能を保持していることが確かめられた.
くり返し試験後の粒状吸着剤は, 結晶構造および振とう試験強度とも変化がなく安定であった, さらに長期のくり返し使用が可能と考えられる.
今後, 脱着条件ならびに脱着液からのリチウムの分離条件について検討する予定である.

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