日本海水学会誌
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粒状吸着剤からのリチウムの脱着
マンガン酸化物系吸着剤による海水からのリチウム採取 (第18報)
宮井 良孝加納 博文馮 旗大井 健太
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1994 年 48 巻 6 号 p. 416-420

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抄録

塩酸を脱着液として用い, 回分式およびカラム式脱着条件について検討した結果を次のように要約する.
塩酸濃度は両方式とも0.5Nが適切であった. その場合, 回分式では脱着時間1時間で脱着率83%が得られた. カラム式では吸着剤量の1.5倍の脱着液量の使用により, 脱着率92%が得られた. また, 吸着剤からのマンガンの溶出率は1~1.5%であった.
溶離リチウム濃度は, カラム式の場合1,400mg・dm-3となり, 回分式多段脱着処理を5回行った場合は2,100mg・dm-3に達した.
リチウムと他の吸着元素との分離は, カラム式においても困難であることがわかった.
回分式多段脱着法およびカラム脱着法には, それぞれ特徴があり, 実用的な脱着法としてどちらを選定するかは今後の課題の一つと考えている.
脱着処理における吸着剤の溶解性を抑えるために, 化学的により安定な吸着剤の開発と脱着法の改善の検討が必要である.

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