1995 年 49 巻 3 号 p. 148-152
淡水域に生息するイガイ科カワヒバリガイ属のカワヒバリガイLimnoperna fortunei fortuneiとその亜種で汽水域に生息するコウロエンカワヒバリガイL. fortunei kikuchiiの塩分耐性と浸透圧調節の比較を行った. カワヒバリガイでは0から3%の低塩分濃度下で生存率が高かったのに対し, コウロエンカワヒバリガイでは実験期間中, 0から30%まで生存率が高く, 広い範囲の塩分濃度耐性が認められた. コウロエンカワヒバリガイを中心に行ったヘモリンパ中の成分分析により, 3%以下の塩分濃度下では飼育水よりもヘモリンパ中の浸透圧が高くなることが明らかになった. また, ヘモリンパ中のナトリウム, カリウム, カルシウム, マグネシウムおよび非タンパク態窒素やアンモニア濃度は, 低塩分濃度下で上昇し, 低塩分濃度下での浸透圧調節機能のあることが示唆された.