日本海水学会誌
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イオン交換膜の膜伝導度測定法の比較
須藤 雅夫山本 潤
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1995 年 49 巻 6 号 p. 341-346

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抄録
電極の種類および電極間距離固定法, 電極間距離変化法, 膜厚変化法の3種類の交流抵抗法, および電位ステップ法の直流法による膜伝導度を推算し比較した. 0.05~5kmol・m-3の塩化ナトリウム水溶液と平衡にしたNeosepta C66-5T膜の298Kでの膜伝導度を推算した. 測定された交流抵抗は, 等価回路に基づき電極反応抵抗および容量成分による抵抗を補正し, 溶液と膜の総括抵抗を計算した. 得られた膜伝導度は, 外部水溶液濃度の増加と共に増加する傾向を示したが, 測定法により膜伝導度は大きく変化した. 平滑白金電極では容量成分が15~60μFと, 白金黒付き白金電極の500~2,500μFに比べ小さいことがわかった. 従って, 溶液のみと溶液中に膜を挟んだときの1kHzの交流抵抗の差から, 膜伝導度を推算する方法では, 電極の容量成分による抵抗成分の影響が無視できる条件で測定することが望まれる. 白金黒電極を使用する場合でも, 溶液濃度が0.1kmol・m-3より低い場合, 交流抵抗にキャパシタンスの影響が無視できなくなった. 平滑金白電極を用いて推算された膜伝導度は, 4測定法の中で最も高い値を示した. 膜厚変化法は, 電極と膜界面の容量成分の影響が存在した. そこで, 交流抵抗法に代わって, 電位ステップ・クロノアンペロメトリー法による直流電流の非定常変化から膜伝導度を推算した. 白金黒電極を用いれば, 本実験での広い濃度範囲の膜伝導度が精度良く測定できることがわかった.
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