抄録
異なる径の粒状マンガン酸化物のリチウム吸着速度をバッチ法で測定した. フロインドリッヒ型吸着等温線に基づく吸着速度の数値解析結果を用いてリチウムの粒内拡散係数を求めた, 拡散係数は, 粒径に依存せずほぼ2×10-6cm2・s-1となった.
カラム吸着実験結果について,無限槽内での吸着モデルを用いて解析し粒内拡散係数を求め, バッチ法とほぼ同じ拡散係数値を得た. カラム法では空間速度200h-1以上で, 粒内拡散律速であることが予測された.
リチウム採取コストは, リチウムの吸着速度に大きく影響される. 今回求めた粒内拡散係数は溶液内でのリチウムの自己拡散係数と同じオーダーである. このことは, 液中硬化被覆法で造粒した今回の吸着剤は良好な吸着速度性能を保持していることを示している. 今後の課題としては, 吸着終期付近で見られる吸着速度の低下を防ぐこと, さらに多孔化して吸着速度性能を上げることが挙げられる.