抄録
酸性雨のモニタリング調査を首都圏の立地条件が異なる5ヵ所において実施し, 雨水をバルクサンプルとして採取し, 化学成分を分析した。その結果から海塩起源イオンの酸性雨への寄与, 海洋からの距離の相違による沈着量の変化, 季節別の沈着量及び非海塩起源イオンの調査地点による沈着量の相違等について検討した.
調査期間中の年間降水量は, 調査地点富士での降水量が最も多く2060mmを記録し, 他調査地点では関東地区における年間平均降水量並 (1500mm内外) であった. 雨水のpHは, pH4.47~5:63の範囲であった. 雨水中の化学成分分析値から, Na+が海塩に由来すると仮定して海塩起源イオンの沈着量を求めた. その結果, 海塩起源イオンの沈着量は, 世田谷>二宮>富士>厚木>奥多摩の順で, 大気が汚染された世田谷を除いて他の調査地点は, 海洋 (北緯35度) から離れるにつれて沈着量が減少した. また, 海塩起源イナンの総沈着量への寄与率は, K+, Ca2+, Mg2+, Cl-, 及びSO2-4それぞれ11.39, 1.76, 44.45, 11.98%で あった. 季節別の海塩起源イオンの沈着量は, 世田谷で冬季, 厚木で春季, 奥多摩・二宮及び富士では秋季に多か った. また, 非海塩起源イオンの沈着量は, 世田谷>厚木>富士・二宮>奥多摩の順に小さくなった.