日本海水学会誌
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タイのマングローブ域における高濃度の窒素とポジティブなδ15Nを有するマングローブの葉と海底土について
エビ養殖場の汚水の影響
Wirongrong THIMDEEGridsada DEEINWanlop THIMDEEChanin SANGRUNGRUANG松永 勝彦
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キーワード: マングローブ, タイ, δ15N, %N
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2002 年 56 巻 2 号 p. 166-173

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抄録
背後にエビ養殖場を有するタイ湾側のKhung Krabaen湾 (KKB) とアンダマン海側のラノン市にある天然のマングローブの葉と底土中の%Nとδ15Nを比較した.KKBにおいては, 葉, 底土中の%Nとδ15Nはそれぞれ1.73±0.16%, 5.19±0.77‰, 0.20±0.02%, 5.21±0.88‰であった.一方, ラノン市のそれらはそれぞれ1.18±0.18%, 3.71±0.43‰, 0.12±0.02%.3.74±0.27‰であった.KKB側の%Nとδ15Nはラノン市側のそれらより明らかに高かった.その理由として, エビの餌の%Nとδ15Nはそれぞれ6.72±0.19%, 7.37±0.90‰でマングローブの葉や底土より著しく高かった.従って, KKB側において, 葉や底土の%Nが高いこと, およびδ15Nがよりポジティブな理由はエビ養殖場の汚水の影響をうけているものと推定された.
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