日本海水学会誌
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味覚センサーを用いた食塩の呈味の定量化に関する研究
都甲 潔陳 栄剛羽原 正秋
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2004 年 58 巻 1 号 p. 57-63

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抄録
味覚センサーを用いて, 種々の塩ならびに市販食用塩の味を調べた.その際, 味覚センサーの受容膜に長鎖脂質を用いることで, CPA測定を可能とした.膜電位計測とCPA測定の双方は異なる情報量を有し, その結果, 2次元からなるテイストマップを得ることができた.この結果は, 1年前に得られた結果と良い一致を示し, 味覚センサーの長期使用安定性を支持するものである.
次に味覚センサーを用いて塩の味のテイストマップを構築し, 塩の味の評価に役立てるため, 人の感覚と対応したテイストマップ構築を試みた.その目的のため, 官能検査を行ったが, 結果は有意なものとならず, 系統的な変化も見られなかった.つまり, 人の官能とセンサー出力との相関をとることができなかった.以上の結果は, 人ではなかなか区別のつかない微妙な味について, 味覚センサーを用いた塩の品質評価, 管理システムの構築の可能性を示唆するものである.
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