日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
Print ISSN : 0369-4550
ISSN-L : 0369-4550
調理時における呈味成分の食材中への拡散, 序論
二元収着拡散染色理論の適用
小見山 二郎橋場 浩子牛腸 ヒロミ仲西 正
著者情報
キーワード: 食塩, 調理, 大根, 拡散, 酸性染料
ジャーナル フリー

2004 年 58 巻 4 号 p. 404-412

詳細
抄録

ナイロン中の酸性染料の拡散挙動の解析のためにつくった二元収着拡散理論を, 加熱調理時の大根中の食塩の拡散挙動の解析に適用した.このために, 98℃ で簡便に一次元拡散のプロファイルを測定する実験方法を考えた.大根の軸方向の拡散プロファイルとして, 典型的な分配型とラングミュアー型の二元機構に対応するパターンを得た.このプロファイルから, フィックの拡散係数が極大を示すことが導かれ, さらにこの結果を解析して, 大根中の食塩の熱力学的拡散係数は, 2.1×10-5cm2s-1で沸騰水中のそれの約1/3であること, ラングミュアー型の結合定数は4.0×102kg/molであることを示した.この手法そのものと, 食材の調理に応用する場合の拡がりと問題点について議論した.

著者関連情報
© 日本海水学会
前の記事 次の記事
feedback
Top