抄録
結晶成長速度を向上させるための基礎的検討として, 流動層型晶析装置を用いた結晶成長実験を行い, 母液中の懸濁微結晶数が塩化ナトリウム結晶の結晶成長速度におよぼす影響について検討した. 実験において, 成長による種晶の重量増加は結晶成長時間に比例した. その結晶重量の増加速度と過飽和度との比は母液中の懸濁微結品数と直線で近似できた. このことから, 重量基準の結晶成長速度は (dw/dt) av=(A+BNfine) ΔCで表すことができた.
次に結晶成長速度の向上が結晶中の液泡量に与える影響を検討した. 各実験で得られた結晶の873Kおよび413Kにて乾燥させた場合の重量減少をそれぞれ測定し, 両者の差を液泡の水分と見なした. その結果, 液泡量への結晶成長速度向上の影響は小さいと考えられた.