抄録
食塩蒸発晶析槽における結晶生産効率の向上を目指して, 高懸濁密度かつ高線成長速度を実現させるために, 結晶成長速度に及ぼす操作条件の影響を検討した. 実験装置は半回分式ドラフトチューブ付撹拌槽を用いて検討した. 高蒸発速度を達成するために, 槽内に設置したコイルヒータで直接に加熱する方式の検討をはじめとし, 高懸濁密度かつ高線成長速度を実現するための加熱量ならびに初期結晶添加量の条件を検討した. その結果, 蒸発速度γe=0.804kg/hr, 初期添加結晶量M0=0.05, 0.10kgでは30vol%を超える高懸濁密度に至るまでD90基準で300μm/hr以上の高い線成長速度を維持できることを明らかにした.
同検討結果により, 食塩蒸発晶析槽における結晶成長速度の大幅な向上を実現させる可能性を示すことができた.