抄録
1986年に発見され、フィーバーを巻き起こした高温超電導は今どんな状況に置かれているのか。この論文では、液体窒素中でも超電導を示す希土類系超電導体(REBa2Cu3Oy、RE:希土類元素)を用いた線材開発の開発経緯と現状、そして将来展望について解説する。同線材の開発の歴史として、重要な3つの課題を選択し、その解決の過程を紹介した。これらの成果により、数百A/cm幅(77 K, 自己磁場)の臨界電流特性を持つ数百mを超す長さの線材が販売されるに至り、最近では各種の機器に対応した特殊性能(磁場中特性等)についても大きな進歩を遂げている。さらに、これらの線材を用いた機器開発が始まっており、早期の実用化が期待されるところである。