抄録
本稿では、プロセス強化を実現する1つの方法論として、理想状態からの「デチューニング」という概念による省エネルギー化技術開発のアプローチ法を示し、内部熱交換型蒸留塔(HIDiC)を含む蒸留プロセスの開発を例として議論した。まず、典型的なエネルギー多消費プロセスである連続蒸留の特徴及びその理想状態である可逆蒸留操作の概念について説明した。次に、可逆蒸留を出発点として「デチューニング」により様々な省エネルギー型蒸留プロセスを導出することができることを示した。その1つであるHIDiCの特徴を他のプロセスと比較して議論し、NEDOプロジェクト等によるHIDiC技術開発の経緯と産総研の役割を論じた。