抄録
地質図幅は、地層や岩石など国土の構成物を表した図面であり、人間が自分の周囲の地球環境を科学的に理解するための基本的な情報が記載されている。資源、防災、立地、環境、学術など、多種多様な用途がある。大学や企業が作成する地質図は、それぞれが興味をもつ特定の地層・岩石を対象にすることがほとんどであるが、産総研が作成する地質図幅は、その地域に分布するすべての地層・岩石に関わる調査結果を、その地域の形成史を矛盾なく表せるよう1枚の図面に統合したものである。地質図幅は個々の研究成果を統合して作成していくが、これまで作成の考え方と過程を記した研究論文がないので、著者が関わった5万分の1地質図幅を例に地質図幅の作成方法論を示す。