Synthesiology
Online ISSN : 1882-7365
Print ISSN : 1882-6229
ISSN-L : 1882-6229
研究論文
過酸化水素を用いるクリーンで実用的な酸化技術
― 新規触媒の開発とファインケミカルズへの展開 ―
今 喜裕田中 真司佐藤 一彦
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 8 巻 1 号 p. 15-26

詳細
抄録
酸化反応は全化学プロセスの3割以上を占めると言われる最重要な反応だが、同時に環境負荷の大きなプロセスとしても知られている。我々は反応後に水しか排出しない過酸化水素に注目し、過酸化水素を用いるクリーンな酸化反応の開発に取り組んだ。その結果、ハロゲンフリー、有機溶媒不要、金属触媒設計等の技術要素を統合した過酸化水素酸化技術の開発に成功し、グリーン・サステイナブルケミストリーの具体例として世界で最初に示した。次に、開発した過酸化水素酸化基盤技術の実用化に挑戦した。企業との緊密な共同研究により、コスト削減やスケールアップ等の適切なマイルストーンを設置して触媒開発を進め、超長寿命絶縁膜など高機能な化学品の製造につなげた。
著者関連情報
© 2015 独立行政法人 産業技術総合研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top