巨大地震や津波は海底にも擾乱を与える。2011年東北地方太平洋沖地震以降の海底調査はこの地震と津波が沿岸域から海溝底に渡る広い海底に大きな影響を与えたことを示した。地震や津波による擾乱によって発生した混濁流から堆積したタービダイトの形成も認められている。タービダイトが堆積物中に保存される環境であれば、海底堆積物中のタービダイトを用いた巨大地震や津波の発生履歴の検討が可能である。混濁流の発生場所や発生原因、流下経路の検討やタービダイトを用いた地震・津波の発生履歴研究用の試料の適切な採取場所の選択にはその基礎となる海底表層堆積物データや試料が有用であり、網羅的な海洋地質情報の整備が重要である。