抄録
地質調査総合センターでは、旧工業技術院地質調査所時代から約50年にわたり、約50種類の標準物質を発行しており、これらは地質試料の化学分析の信頼性を高める標準物質として世界中で使われている。岩石、鉱石・鉱物、土壌、底質等の地質試料は多様な元素を高濃度で含んでいるため、正確な化学分析を行うためには、主要成分の含有量が類似し、目的元素の濃度があらかじめ定められた地球化学標準物質を用いる必要がある。この論文では、世界および日本における地球化学標準物質開発のシナリオと、その後の発展および変化を述べ、試料の選択から、粉砕過程を経て、標準値の決定およびデータの公開に至る研究プロセスを述べる。