システム監査
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【®研究論文】第4次産業革命における情報化実践と監査
成田 和弘
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2017 年 31 巻 1 号 p. 85-94

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抄録

「第4次産業革命」がビジネス環境を劇的に変化させている。生産性が先進国中最低水準まで落ち込んでいる我が国にとって、これをリードし、勝ち残ることは喫緊の課題である。「第4次産業革命」では、自律的にかつ相互に連携した Cyber Physical Systems (以下「CPS」という) が、「人に代わって働く」。そしてCPS によるIT サービスは「商品」として顧客に提供される。組織は激しい環境変化の中で、「顧客満足」を創出する新たなITサービスを「安心安全」とともに提供し、迅速かつ継続的に改善し、維持し続けなければならない。この課題解決のヒントは、「アジャイル開発」にある。難易度の高い開発手法であるが、リスクを最小にしながら、「迅速」、「高品質」で「柔軟性」のあるソフトウェア開発と「イノベーション」を可能にする。組織が国際競争力のあるITサービスを生み出すためには、この「イノベーション」と「安心と安全」、そして、その担い手である組織の信用が必要である。システム監査人は、「アジャイル開発」の精神と「安心と安全を作り込む技術」を十分理解し、「独立した専門家」としての評価を通じ、組織の信用の確立を効果的に支援することで、第4次産業革命における情報化実践に貢献することができる。

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© 2017 システム監査学会
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