外気や室内の化学物質による低濃度の曝露の健康影響は、生体に備わっている神経ー免疫ー内分泌からなる恒常性維持機構が、個々人が持つ遺伝素因、発達期、性、アレルギーなどの既往歴に依存して化学物質による異なる修飾を受けた結果を反映していると考えられる。
環境化学物質の影響の受けやすさを扱う感受性要因について明らかにするため、われわれが行ってきた大気中の化学物質曝露による脳領域や免疫組織での神経栄養因子、その受容体、及び炎症に関わる因子への影響についてマウス系統間での比較、および生物因子としてのアレルゲンと化学物質との複合曝露に対して鋭敏な神経免疫指標についての研究成果の概略を述べる。