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大気環境学会誌
Vol. 46 (2011) No. 1 P 10-19

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http://doi.org/10.11298/taiki.46.10

原著

2005年3月18日に西日本を中心に広範囲で黄砂が観測された。この同一ダストイベント時に、鹿児島県奄美大島と熊本県天草の2地点で採取した大気エアロゾル粒子を走査電子顕微鏡とEDXを用いて個別粒子分析を行い、各地点における黄砂粒子の元素組成を比較した。
奄美と天草の粒子採取時刻に多少の差はあったが、同一ダストイベント時に採取した粒子において、鉱物元素の割合、粒径、海塩粒子との内部混合状態、酸性物質との反応によるCl損失の程度、などについて異なっていた。Fe, Kの相対重量比の割合が高い粒子が、奄美で67%、15%、天草で32%、8%であり、奄美で採取した粒子は天草の粒子よりもFe, Kの割合が高かった。分析した粒子は、天草よりも奄美において1~2μm程度の粒子が多く、これはFeの割合が高い粒子の違いと関連していた。奄美と天草の両地点において、黄砂粒子と海塩粒子の内部混合とClの損失が確認され、Clの損失は天草よりも奄美において著しかった。このような相違は、同一ダストイベント時においても粒子の発生源が異なっていたことが原因だと思われる。本研究において、黄砂粒子の発生源や輸送経路、大気中での反応過程などの違いにより、同一ダストイベント時においても粒子採取場所により粒子の性質が異なっていたことが明らかになった。

Copyright © 2011 社団法人 大気環境学会

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