大気環境学会誌
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技術調査報告
可搬型小型オープントップチャンバーシステムの開発
河野 吉久米倉 哲志
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2012 年 47 巻 4 号 p. 186-193

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抄録

オゾンの植物影響評価および温暖化影響への適用も考慮した可搬型の小型オープントップチャンバー(小型OTC)を市販の既成品を組合せ、できるだけ安価に作製できるようにした。当初、粒状活性炭を充填した浄化空気(CF)区と、活性炭を充填しない非浄化(NF)空気区を設け、両区の風量が一定となるように調節して試験栽培を行った。その結果、NF区よりもCF区の送風ファンに負荷がかかることによりCF区の送気温が上昇し、長期間の試験を行うと温度差の影響が出ることが明らかとなった。このため、ベース素材・構造が同一のハニカムフィルターを採用することにより送風ファンに対する負荷を均等にでき、温度差の影響を解消できた。さらに、フィルターのオゾン除去効率を検討した結果、フィルターのオゾン除去能は維持されていることが確認できた。また、シリコンベルトヒーターを使用することで風量の影響を受けずに温度勾配を設けることができ、温暖化影響を評価する試験に活用もできることも確認できた。本システムの基本構成はCF、NF区用に各3基を用いることとしている。このため、電源の供給が可能であれば、本システムを利用することによって比較的狭い空間でもチャンバー反復を考慮した複数の組み合わせ試験が実施できると考える。

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© 2012 社団法人 大気環境学会
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