連続的なUV-B照射がキュウリ (Cucumis sativus L.) 子葉に及ぼす影響を調べるために、キュウリ子葉の切片の観察およびCs1-MMP遺伝子の発現解析を行った。Cs1-MMP遺伝子はMMPをコードし、キュウリ子葉の老化からプログラム細胞死 (PCD) の遷移時に発現する遺伝子である。切片の観察の結果、UV-B照射8日目には柵状組織細胞のクロロプラストの配列が異常になった。UV-B照射12日目には表皮細胞が押しつぶされたことにより、向軸側の子葉表面が滑らかになった。UV-B照射8~16日目には柵状組織の縦の長さが減少した。UV-B照射16日目には柵状組織の上層の細胞の細胞壁の厚さが薄くなった。また、UV-B照射8~16日目にはCs1-MMP遺伝子の発現が誘導された。以上のことから、UV-B照射したキュウリ子葉においてCs1-MMP遺伝子の発現誘導と、表皮細胞と柵状組織の上層の細胞の崩壊のタイミングには強い相関性が示された。UV-B照射したキュウリ子葉においてPCDにつながる細胞壁の崩壊にCs1-MMP遺伝子が関与する可能性が考えられる。