大気環境学会誌
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原著
富士山山岳道路沿道における車両通行規制に伴う窒素酸化物の濃度変化
和田 龍一織田 風假屋 美央中井 裕一郎高梨 聡中野 隆志米村 正一郎児玉 直美谷 晃遠藤 一浩
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2014 年 49 巻 5 号 p. 218-223

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抄録

富士山山岳道路における車両通行規制とその効果の検証を目的に、富士山山岳道路沿道において窒素酸化物濃度を2012年7月下旬から9月上旬にかけて週1回の頻度で合計6日間計測した。窒素酸化物の観測には鉛蓄電池を用いた電力供給系と化学発光分析装置を積載した計測車両を用いた。車両通行規制期間内外における窒素酸化物の1日平均濃度はそれぞれ6.2 ppbv、15.9 ppbvであった。車両通行規制により窒素酸化物濃度は39%まで減少し、車両通行規制による環境保全の効果が窒素酸化物濃度の点から明らかとなった。車両台数と窒素酸化物濃度の相関から、本観測期間においては、車両1台あたりが沿道のNO、NO2濃度に与える影響が車両台数110台を境にそれぞれ4.4±2.8倍、1.0±0.6倍に変化した。これは、渋滞の発生が確認された1時間あたりの富士山山岳道路の車両入場台数である105±31台付近にて、交通状況が渋滞へと変化し、車両1台当たりから排出される窒素酸化物がより観測地点付近に滞留したためと考えられた。

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© 2014 大気環境学会
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