2015 年 50 巻 6 号 p. 257-265
1990~2011年度の関東地方の常時監視データを用いて、光化学オキシダント (Ox) の前駆物質である非メタン炭化水素 (NMHC)、窒素酸化物 (NOx) 濃度とOx生成量との関係を解析した。気象の影響を除くと、前駆物質濃度とOx生成量との関係は明瞭になり、関東地方は大局的にはVOC-sensitiveの状態にあると考えられた。また、前駆物質濃度とOx生成量との関係は3期に分けて異なっており、これにはOx測定法の変更が影響している可能性が示唆された。大気中VOC組成の変化としては芳香族化合物が減少していたが、全体の反応性は大きく変わっていないと考えられた。Ox高濃度日低減のための前駆物質濃度低減率を推定した結果、NMHC濃度を2009~2011年比で20%低減すればNOxが20%低減したとしてもOx高濃度日は半減するものの、Ox高濃度日をゼロにするためにはNMHC濃度を50%程度低減する必要があると考えられた。