大気環境学会誌
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研究論文(原著論文)
稼働状況の時間変動を反映した火力発電による排出量の時間配分
富山 一 小林 伸治田邊 潔茶谷 聡高見 昭憲
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2016 年 51 巻 2 号 p. 124-131

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抄録

大気汚染予測システムの精度向上に寄与する入力値となることが期待される、火力発電による排出量を時間配分する方法を開発した。線形重回帰分析により、月、曜日、時刻および不快指数を説明変数とする発電電力量の回帰式を利用して、将来期間の発電電力量を1時間単位で推計するモデルを構築した。モデルの精度を評価するために、モデル構築の学習期間とは異なる検証期間で交差検証した結果、モデルに十分な再現性が確認された。総発電電力量を発電方式別の発電電力量として割り振ることでガス火力および石油火力発電による発電電力量を推定し、時刻別排出量比を算出した。回帰係数に着目すると、平日と休日で日内24時間変動、月別、曜日別、不快指数別に顕著な差異が認められた。一般電気事業者9社の回帰係数を比較した結果、一般電気事業者の操業管区に地域特性があることが確認された。また、東京電力の2008、2010、2012、2014年の年ごとの回帰係数を比較した結果、年による違いがあることも確認され、東日本大震災後の節電の影響と考えられた。排出量の時間配分をする上で地域特性と年特性を考慮する必要性があることが確認された。

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© 2016 大気環境学会
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